ここネット 日本子ども・子育て支援センター連絡協議会

ニュースレター

ニュースレター 1月の随想(エッセー)

イキイキ「今、この瞬間」生きよう

風の谷こども園 園長 川副孝夫

 2026年に入り このごろ思うことをエッセーとして書きたいと存じます。
皆さまは年末年始、如何お過ごしでしたでしょうか。年が改まると、ほんの一瞬であっても、心が新たになるから不思議ですよね。
 過去のことは一旦捨てて、いや見事に棚上げして、心が切り替わって、新しく生きよ、一瞬でも、束の間でも、この与えられた命を新しくして生きよ、人生を新らしくして生きよ。人生は、いや全世界は、空しいことがたくさんあるけれど、それこそこの与えられた命を、人生を、日々を、いや「今、この瞬間」を、まさしく精一杯生きよ。そのことを悟れと響いてきます。
 何時の時代からなのでしょうか。人類が生み出した、新しく生きる知恵なのでしょうか。
 こどもをみていると、これまででも無く、これからでも無く、新たな不思議に出会う「今、この瞬間」を楽しんで、成長しているように見えます。
20年前のエピソードを紹介します。
 H君(5歳)のお母さんから、「また脱走して、行方がわからなくなった。」と、連絡を頂きました。
皆さんもこの連絡をもらったら、緊張が走る出来事ですよね。一瞬そう思ったのですが、お母さんの声は、落ち着いていて、「また」なのですよと心の内が伝わって来ました。私たち保育園の職員も動員し、H君の行きそうなところに向かいました。
再びお母さんからの連絡です。
「見つかりました。一時間半歩いて、菅野まで行きました。走りぱなしでした。」
その安堵の声の後の笑え声に、お疲れさまと心の中で私も安堵しました。菅野は自宅の栗山浄水場からは、4~5キロぐらいの距離でしょうか。お母さんの「勘」というセンサーは、警察や我々より優れていました。
 当時のH君は、目が離せません。園を“脱走”して、街の中を探索する楽しみを見つけてしまったようです。車などの危険が予測できるので、どうしても“脱走”と言ってしまいます。しかし彼自身にとっては、街の中には、いつもと違う、興味や好奇心や感動する未知の世界と出会える、あのワクワク、ドキドキ、ハラハラ、訳の分からない、緊張と興奮を身体全体で感じているに違いありません。
 一日中水道から出る水と、手に掛かる感触や変化は、触覚だけでなく、視覚に入る無限の輝きを毎日毎日、何か月も獲得していました。年長になってからは、砂と水と自分自身の身体全体で感じ取っていました。さらに運動能力が高くなり、街の景色など視覚、聴覚などから入って来る刺激に心も身体も動かされているようでした。そのことに気づいたお母さんは、H君と街探索に出掛けることを始めました。今回の街探索行動は、園での散歩や園脱走の彼自身の中から湧き起ってくる超自然の行動であり力であります。
 こどもの世界は、実にすばらしい。未知の世界に出会えるから、心も身体も動く、この感覚から生まれるハラハラ、ドキドキ、ワクワク、この訳のわからない「今、この瞬間」の“変化”に富む世界を感じ取るから、こどもはすばらしい。まさに“生”の塊である。この“変化”を楽しめる時、人は、イキイキしているのかもしれませんね。
「サバイバルゲームですよ!」とお母さんの声は明るかった。
こどもを侮ってはいけません。大人である私たちの魂を取り戻す、大事な存在です。
こどもは面白い、ここに畏敬の念が込み上げてきたら、あなたもその瞬間、イキイキ新しく生きる力が備わったのです。成長したのです。
こどもに、感謝です。
今年一年が、今、この瞬間に恵みと平安があなたにありますように。

 

※なお、このエピソードは、大人もこどもも人類が築いて来た知恵を、現代は失いつつあるのかもしれません。

令和8年 新年のご挨拶

ここネット通信1月号

 

日本子ども・子育て支援センター連絡協議会(略称 ここネット)は

日本の子どもが遊びながら豊かに育つことのできる社会の実現と

日本の文化と命をつないでいく子育てを支えていく活動をしている団体です


 

令和8年 新年のご挨拶

ここネット理事・会長 柳溪暁秀  

新年明けましておめでとうございます。

日頃より、日本子ども・子育て支援センター連絡協議会(ここネット)の活動に対しまして、ご理解とご協力を戴き深く感謝いたします。

さて、今年は60年に一度の丙午(ひのえうま)です。1906年(明治39年)には女児の出産を避ける動きが見られ、出生率は前年より約4%減少したそうです。更に、1966年(昭和41年)の丙午ではその傾向が一層強まり、出生率は前年比でおよそ25%も落ち込んだそうです。しかしながら、現代日本では女性の社会進出や多様な価値観が定着していることから、丙午の年に出生率が大きく下がるような事態は想定されにくくなっているようで、政府が公表している2026年の人口推計にも、丙午の影響は考慮されていないそうです。

 

昨年は「第13回 子ども・子育て支援全国セミナーin熊本」

期 日  令和7(2025)年11月27日(木)~28日(金)

会 場  くまもと県民交流館 パレア 10階

テーマ 「はじめの100ヶ月の育ちビジョンと私たちの子育て支援を考える」

を主催が「ここネット」共催が「熊本子育てネット」として開催され、参集とオンラインを合わせて200名以上のご参加を戴き深く感謝いたします。

 

本年は「第14回 子ども・子育て支援全国セミナーin東京」

期 日  令和8(2026)年9月24日(木)~25日(金)

会 場  国立オリンピック記念青少年総合センター・センター棟 4F

テーマ (仮題)「はじめの100ヶ月の育ちビジョンの実践を考える」

で開催いたしますので多くの方々のご参加をお願いいたします。

【『ここネット』の道標(みちしるべ)】の『 園でも家でもセンターでも、3歳までに質の高い子育て(保育)を!』を旗頭に、「和を以て貴しとなす」を大切にして、

「子どものための子育て支援」と「保護者のための子育て支援」の両方の事業を進めて参りますので、ご理解とご協力を戴きますよう宜しくお願い申し上げます。

 

末筆となりますが、戦争のない平和な世界となる事と日本の少子化が解消される事を強く願うと共に、会員の皆様方の益々のご活躍とご健勝を願って、新年のご挨拶とさせて戴きます。

合掌

 


 

 

ご 挨 拶

熊本県地域子育て支援センター事業連絡協議会(熊本子育てネット)会長  

ここネット理事・副会長 小岱紫明  

 

謹賀新年 旧年中はお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いします。昨年11月の熊本での第13回子ども・子育て支援全国セミナーin熊本開催にあたりましては、皆様方のご協力のもとお陰様で盛会裏に終えることが出来ました。あらためて感謝申し上げます。

一昨年のプレセミナーに引き続きの開催となり、また、他団体の研修等が重なり参加者の確保が危ぶまれましたが、北海道から九州まで現地参加・ライン参加も含めて200名以上の参加者となりました。参加者の方々からは、非常に示唆に富む濃密な内容の研修であったと、ご感想をいただいております。行政を始め、各方面からの多彩な講師陣の方々からも貴重な提言をいただくことができ、分科会をなくしたこともあり、ともに参加者みんなが課題を共有できたかと思っています。

子育て支援関係者以外の、異分野の方々の個人参加もありうれしい誤算でした。秋田喜代美先生のあらゆる学問は子育てに通じるといわれたことを思い起こしました。

山形の全国大会で、下村先生からは引継ぎのバトンならぬ、天童市の将棋の駒のような重量感のある引継ぎバトン(?)を、熊本で預かっておりましたが、次回開催地(東京)に手渡すことができ安堵しているところです。

少子化のスピードが想定より早くすすんでおり、予測のつかない未曽有の時代に突入した感があります。あらためてこういう時代だからこそ、今年も皆様とともに励まし合いながら、子育て支援の資質向上を目指して研鑽できればと思います。

 


 

 

3要領・指針の改訂に期待

ここネット理事・副会長 中川浩一  

 

新年明けましておめでとうございます。今年は2018年改訂された現保育所保育指針の10年ぶりの改訂に向け本格的な議論が始まる年です。毎回の指針改訂は、その時の保育のあり方が反映されてきました。10年前は、乳児・1歳児・2歳児の子どもの育ちがいかに大事であるかという脳科学の発達のエビデンスが色濃く反映され、未満児保育のボリュームアップが話題となりました。とくに乳児期は、5領域ではなく、3つの視点「健やかに伸び伸び育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わりを通じて感性が育つ」からの保育が採用されました。また子どもの発達には応答的な関わりが大事である点も示されました。

その後、コロナ禍を経て、子どもの権利に触れた日本初の法律「こども基本法」が施行され、同時にこども家庭庁が子ども施策の司令塔として誕生、「こどもまんなか社会の実現」にむけての施策として「こども大綱」「こども未来戦略」「はじめの100ヶ月育ちビジョン」等矢継ぎ早に打ち出されて現在に至っています。

とくに「はじめの100ヶ月育ちビジョン」の中の100ヶ月間の大半は、保育所や子育て支援センターの私たちが関わることを思えば、その子どもの一生、そして子どもの周りにいる全ての大人のウェルビーイングが私たちの守備範囲内にあることを考えると、あらためて私たちの保育の大いなる使命を自覚せずにはおられません。

また保育所では、現在ICT化やDX化が進んでいます。今後保育の中でAIをどのように取り込んでいけば良いのか悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。

現代社会にあって生成AIを無視して教育もビジネスも成り立たない時代になりました。今回の指針改訂にあってもこども基本法に基づく事項やこども家庭庁からのこれらの施策、また児童福祉法の改正等が反映されるものと思われますが、もしかするとこのAIと保育のあり方あたりも盛り込まれるかもしれません。

いずれにしても、これからの保育の10年を決める3要領・指針改訂となります。議論の行方を注視しながら、ここネットとしても時にパブリックコメントを届けながら今以上にいい要領・指針になるよう期待したいと思います。

 


 

 

ご挨拶

ここネット理事・副会長  

大谷光代(埼玉ここネット)  

 

あけましておめでとうございます。令和7年も「あっ!」という間でしたが、皆様にとりましてはどんな一年でしたか。

年頭にあたり、突然ですが、私はうちの園の「かすティ」について書かかせていただきたいと思います。

かすティは78歳の保育教諭。文字で書いたことがないので、「かすティ」なのか「粕ティー」なのか、はたまた「カスティー」なのか‥。定かではありませんが、苗字にティーチャーをつけたと思われるニックネームで、皆から慕われ頼りにされているスーパーな女性です。

40歳頃からうちで働き始め、60歳まではフルタイムでバリバリ務め上げ、そのあとは早番担当として今も早朝からお昼まで週4日、頑張ってくれています。

かすティのすごいところは、いったいなぜ?と思うくらい、必要なところに必要なだけ手を出し現場を助けてくれるところです。もはや桜木花道かと思うほど「なぜそこにいる?」と唸ってしまいます。

子どもの数、保育士の数と状況を見て「私はここに入ればいいかねぇ」と瞬時に判断し助っ人に行く。もう大丈夫と判断すると、他の仕事を見つけて片時も休まず誰かを助けに行く。かすティがいてくれるだけで、現場の隙間が埋り、安全と安心に変わります。

この、素早く状況を理解し行動に繋げる力、あるいは周りの人たちの表情から気持ちを読みとり自分の役割を見つける、といった力は、常々私も見習いたいと思ってきました。しかし思っていてもなかなかできることではない、というのが現実で、こういう力は私たちの生活の中からどんどんなくなってきていると思いませんか。

こうしたレジェンドたちにあって、昭和後半生まれの私たちあたりから薄れてきているこの力は、いったいどこから生まれどうやって育っていくのでしょう。この力は日本に再生可能なのでしょうか。

その再生の糸口として、子どもたちが群れて育ち合うことにブレーキをかけてはいけない、と私は今強く感じていますが、いかがでしょう。大人のルールを押し付け、危険のないよう、喧嘩をしないよう、私たち大人が気を配ってばかりいたら、かすティは日本から消滅してしまうかもしれません。絶滅が危惧される力は他にもたくさんあるでしょう。それをそれぞれの地域で守って、伝えていきませんか。

子どもたちが、人の気持ちを察し次の行動を選択していく機会を奪わないよう支援を続けようと、頑張る78歳保育教諭を思い年の初めに誓った次第です。

「あははおほほ」ととにかく明るく楽しくやってきたかすティも、そろそろマイクを起き、銀幕の世界から身をひく時期が見えてきました。彼女に甘えられる残りの時間、精一杯見て想像して、少しでも多く吸収する令和8年にしたいと思います。

今年も肩の力を抜いて頑張ってまいりましょう。よろしくお願いいたします。

 


 

 

懐かしいような、新しいような

ここネット理事・事務局長  

國重俊亮  

 
こども家庭庁が鋭意、推進中の「こども誰でも通園制度」について考えていると、ふと

令和になりたての頃、自分が書いた論文を思い出しました。もう5~6年も前のことです。

令和元年5月10日(金)に幼保無償化&大学無償化法が成立、令和元年10月から適用へ。幼保無償化は3歳~5歳児の原則全世帯を対象に。大学無償化は低所得者世帯を対象に授業料減免や給付型奨学金をもうける。財源は消費税10%への引き上げ分を充てる。

と、いうことでその年、令和元年10月1日(火)から消費税8%から10%へ5年半ぶりに引き上げに。同時に10月1日(火)から幼児教育と保育の無償化が始まると発表。

これを受けて私が書いた文章が次であります。懐かしいけれど何だか新しく感じます。

〇原稿〔保育士不足を別の角度から考える〕

おそらく他人の子の保育を代理するという職業の特徴からすれば保育士という職業は人

口規模の一定割合以上は増えないのではないか。つまり、子育ての根幹は家庭・地域社会にあり一定以上の認可保育園も一定以上の保育士も自然に頭打ちとなる(仮説)のではないかということである。

この仮説については今回の「保育士確保に関する論文」の趣旨に反するではないかという読者もおられることと思う。そこで、例えば、国の人口と医者や弁護士、消防士、自衛隊員、大学教授、国家上級公務員、国会議員、または理髪師、美容師、多くの職業の適正配置数というものは必ずあるが、国策としての待機児童解消とそのための保育士現役の数の適正配置数は本当にあと7万人以上もの不足なのであろうか。一体、わが国の母親のすべてを労働市場に出して、そのかわりを保育士が務めなければならないなどあり得ないであろう。

その適正配置数を求めた研究が進みつつあるとはいえ、今秋10月の消費税10%への値上げと同時の保育の無償化もあり、当分の間保育士不足解消はできそうにない。むしろ、在宅ワークはじめとして実の母親が実子の子育てをする姿勢へのふりかえりが急務なのではないのか。なんでも公(おおやけ)頼みの「スウェーデン病」という言葉もある。

筆者はなにも日本に認可保育所がなくてもいいと言っているわけではなく、優れた認可保育所を適正数配置し、必ずしも必要でない保育ニーズ(悪い遊びのためにあずける、とか犯罪行為をするためにあずけるなどは論外にしても)保育を頼む理由を問わないなどおかしいのであって、本来の認可保育所の役割を核にすべきだと思うものである。

地域や家庭が保育・子育ての応援できない時代と言われて久しい。そのかわりに何をもってくるかによって百家争鳴の様相を呈しているが、昔に戻るわけにもゆかず、それはそれなりに段階のある保育専門家の養成が必要だと思われる。

保育士、保育補助者、パート、アルバイト、ボランティア、子育て支援員、地域の関係

機関やおせっかいおばさんなどなど。

いまは多くの職種や人と連携できる調整役(コーディネーター)が必要となっており包括支援センターとの関係や街ぐるみの福祉など工夫できる。社会福祉法人や保育園の地域貢献や地域ネットワークの活用が求められている。

各保育園はまず園長が率先してこのコーディネーターを果し後に続く人材を養成することができれば光が見えてくるように思う。

【結語】

結局、世の中で認可保育所だけで子育てを解決しようとしても、それはとうてい無理であり多くの社会資源、行政機関とも連携し、多数の人々との連携により成り立つ。

これは伝統的表現でいえば保育所と「家庭・地域社会との連携」という言葉にかえっていく。

結論としては具体的個別的なケースをもとにして各保育園が置かれた地域のなかで、まさに家庭・地域社会との連携を模索していくことが大事でありその連携の質と量の進展が求められているのではないだろうか。

人材⇒子育て支援⇒保育園運営と 家庭・地域社会との連携

 

いかがでしょう。いま読みかえしても懐かしい文章であるとともにいまだに新しいことばのように感じるのは私だけではないのではないでしょうか。

また、将来、AIの発展とともに事務仕事の多く、生産現場の多く、工場製造工程の多くがコンピューターのAI制御となり、人間の作業は省力化、能率化、合理化されて人手不足が解消されるというひともおられます。

私もAIの明るい面、良い面を信じているものであります。けれども、画一的な答え、誰がAIを使っても似たような答えが出るという状況は面白みに欠けます。

未来に明るい夢をみて子どもたちに健やかに育ってほしいというようなことを考えながら今年も暮れました。

今年は除夜の鐘をつきにいこうと考えながら筆をおきます。

みなさま令和8年、2026年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

子ども・子育て支援全国セミナーin熊本 開催要項

子ども・子育て支援全国セミナーin熊本の開催要項_

 

申込みはこちらから↓

http://www.mwt-mice.com/events/2025-kokonet

 

令和7年11月27日(木)~令和7年11月28日(金)

会場:熊本県民交流館パレア

〒860-8554 熊本市中央区手取本町8番9号

テトリアくまもとビル 9階・10階

TEL:096-355-4300

 

全国から多くの参加の方を募りたいと存じます。奮ってご参加ください。

ここネット通信 3月号

『ママがいい』と『3歳児神話の崩壊』

副会長 中川浩一

  昨年12月にここネットのzoom研修会で松居和先生のお話しをお聞きしました。また著書「ママがいい」を読んで私も納得と感動した一人です。保護者が0・1・2歳のわが子としっかり関わり、可愛がることによって子どもは心が安定し、安心して育つことができます。さらに『子育て』という営みは、子どもが育つ以上に親が育つ、「親心」が育っていくという相互作用の営みであると。私自身心から納得です。
  そもそも、なぜ子育てという営みによって「親心」が育つのでしょう?それは親として子どもを授かり産んだ瞬間から、自分の意思とは関係なく自分の時間は目の前の子どもに奪われ、自分のやりたいと思ったことが何もできなくなるという「不自由体験」をします。その体験を経験し乗り越えていく過程で「親心」が育まれるのです。
  ところが、現代社会は、核家族化、少子化、地域コミュニティーの崩壊など、子どもが育つ環境がとても厳しくなりました。なぜなら、そもそも人間は一人では子育てができない動物なのです。父親、母親はもちろんですが、周りの大人の関わりや子ども同士の関わりがあって子どもは成長します。そのことを京都大学の明和政子先生は、共同養育・集団養育こそがホモサピエンスとしての生き残り戦略であり、本来の子どもの育て方であると。
「ママがいい」という不変の子どもの叫びに母親一人では応えられない社会状況になっているのです。
  そして昨今の国の保育施策は、松居先生が言われるように母親の就労支援を目途に長時間保育、休日保育、病児保育、保育の無償化など、子どもを預けないと損、子どもを預けることはあたり前、親の権利であるといわんばかりの現状があります。このように母子分離が進む施策が次から次へと打ち出されてきました。これではなかなか「親心」を育むことは出来ません。このことに警鐘を鳴らされているのが『ママがいい』だと思っています。
  だからこそ、この時代に親に代わって保育する保育所やこども園の使命は大きく、保育士の子どもに寄り添う日々の保育で子どもの育ちは支えられているのです。また孤独で子育てをする「ワンオペ育児」や「ぼっち子育て」によって育児疲れ、児童虐待につながるような保護者をも支えていると自負しています。
  今年2月に開催された『第14回真冬に保育を考える研修会』で、東北大学の大田千晴先生のエコチル調査の分析から見えてきた『三歳児神話に根拠なし』というお話しがありました。松居先生のお話の真逆のような演題名でしたが、果たしてそうだったのでしょうか。乳児をお預かりしている私たちの肌感覚でいうと、友だちとの関わり方、困難を解決しようとする力など、いわゆる「社会性」や「レジリエンス」という発達に関しては、1歳、2歳で入所してくる子どもと比べてみて3歳時点で発達しているというデータは妙に納得できます。
だからといって私たちは、積極的に乳児保育を推奨していません。あくまでも就労や保護者の疾病などによって自分で保育が出来ない保育を必要としている保護者に代わって保育をしています。保育所やこども園を利用したいと思うときに「3歳児神話」に囚われ、自分で何が何でも育てなければと思われる保護者にとっては、保育を利用することへの後ろめたさがこの調査で少しでも軽減されるといいなと思っています。
  同時に私たちは、これに慢ずる事なく、「ママがいい」はあたり前、親に代わることはできないけれど、子どもたちひとり一人にしっかり寄り添っていける保育者になろうと謙虚に受けとめ、さらに松居先生が言われる「親心」を育んでいくことのできる保育を目指していきたいと思います。保育園やこども園や子育て支援センターがどこまでできるかわかりませんが、親子の絆が深まるような日常・非日常の時間と空間を作りたいと思います。

ここネット通信 2月号

第14回真冬に保育を考える研修会報告

副会長 中川浩一

 

  去る2月10日・11日に毎年開催している「真冬に保育を考える研修会」を山口県下関市で開催しました。県の内外75名の方が参加、日本列島が冷蔵庫の中に入ったような寒い中でしたが学びが深く、かつ多い研修会となりました。

  まず研修1では、令和8年度から正式事業となる「こども誰でも通園制度」について今年度試行実施している北九州市の北野久美先生にお話しをして頂きました。注目すべきは、「こども誰でも通園制度」の話しを聞いたとき正直「無理!」と思ったけれども、やってみて今はこれって「有寄りの有」という結論に至ったというお話しでした。

  研修2では、東北大学大学院教授で大学病院の小児科医をされている大田千晴先生から「エコチル(エコロジーとチルドレン)調査」のお話しを聞きました。早期保育を受けた子どもと家庭で育った子どもが3歳なった時点でどのような「発達」の違いがあるのかという4万人の膨大なデータ分析を元に『3歳児神話に根拠無し』というお話しは、乳児保育を後ろ髪を引かれる思いで利用している保護者や子どもへの後ろめたさから、利用控えしている保護者、さらに保育者の私たちにとっても、大きな後押しになるお話しでした。そして日本でも根付いている「エコチル調査」という大型縦断調査の分析から見えてきた保護者の喫煙による子どもの受動喫煙やスクーリング時間(メディアとの関わる時間)の長短など、子どもが育つ環境が子どもの育ちへ及ぼす影響についてのお話しはとても興味深いものでした。

  そして研修3では、ここネットのスーパーバイザー的な存在でもある武庫川女子大学教授の倉石哲也先生からは、保護者を虐待の加害者にさせないための保護者支援の方法について具体的かつ多岐にわたる方法を教えて頂きました。

  そして研修4では、至誠館大学教授の田中浩二先生からは、リスクマネジメントを通して『ケガは仕方がない』と安易に思ってはダメ、死亡事故を0にするためには、まず重大事故を起こさないという保育が大事である。そのためには小さな事故やトラブルが起きた時に保育者が何故起きたのか、どのようにすれば起きなかっただろうかという「考える保育」の重要性をデータの分析を元に教えて頂きました。

それぞれ「角度は違いますが、どの研修も今の時に適った保育の視点を大いに学び合えたのではないかと思います。このたびの「第14回真冬に保育を考える研修会」にここネットを通じて全国から、そして県内からお集まり頂き熱い議論と学びができたこと、この場をお借りして御礼申し上げます。

  ありがとうございました。

 

ここネット通信 1月号

こどもの生涯の幸せを育てる

ここネット理事  廣瀬集一

 

山梨県甲府市議会では令和6年12月、子育てについてこんな議論が交わされていますので、ご紹介させていただきます。

 

こどもの育てられる権利の話を進める中で、「はじめの100か月の育ちビジョン」の妊娠から小学校1年までのライフステージに従って質問を進めさせていただきます。

子どもの権利条約は1989年(平成元年)11月(20日)国連総会で採択されました。
日本は、1990年(平成2年)9月(21日)世界で109番目の国として署名、1994年158番目の批准・締約国となりました。現在は、締約国・地域は196となっています。

「こども家庭庁」は、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針(令和3年12月21日閣議決定)に基づいて、令和5年4月に設置されました。こども家庭庁の創設は、大人が中心になって作ってきた社会を「こどもまんなか」社会へと創り変えていくための司令塔の役割を持つこととなりました。

「こども基本法」は令和5年4月に発効され、日本国憲法及び子どもの権利条約の「こどもの意見の尊重」など4つの基本原則を取り入れ積極的に推進することを規定しています。基本法のひらがな表記「こども」とは、18歳や20歳といった年齢で区切るのではなく、全ての子どもに必要なサポートが途切れないよう、「心と身体(からだ)の発達過程にある者」を表現しています。

「こども大綱」は少子化社会対策/子ども若者育成支援/子どもの貧困対策の既存の3-法律の白書・大綱を一体的に束ね、こども施策に関する基本的な方針や重要事項等を一元的に定めています。

そして、「こどもまんなか実行計画2024」には、ライフステージ別の重要事項として、「はじめの100か月の育ちビジョン」がとりあげられています。

このビジョンによる「はじめの100か月は生涯の幸せを育てる」という言葉に、子育ちの原点が集約されているように思われます。妊娠期から小学校1年生までがだいたい100か月。この時期に、こどもは様々な人やモノ、環境とのはじめての出会いを繰り返しながら育っていきます。こどもは、おとなのとの「アタッチメント(愛着)」すなわち「安心」を土台として、「遊びと体験」すなわち「挑戦」を繰り返しながら成長していきます。だからこそ、私たちはこどもが人生の第一歩を力強く踏み出せるよう社会全体で支え、応援していくことが必要だとしています。こどもがまんなかの社会を実現することは、すべての人の幸せ(ウェルビーイング)にもつながっていきます。

こどもの成長に応じた環境の変化には様々な育ちの危機が訪れるので、育ちの「切れ目」を生まないように「こどもの誕生前」から全ての関係者で連携して育ちを支えることが重要となります。

ここではこどもの成長に沿いながら議論を進めていきたいと思います。

 

質問1.誕生前の妊娠期です。

2024年の改正児童福祉法により「妊産婦等生活援助事業」が始まり、妊娠期から産後にかけて住まいや食事の提供、養育を支える拠点の整備を全国で進めています。支援施設では予期せぬ妊娠や出産などに悩み、住む場所がなく支援が必要な妊産婦を市町村などを通じて受け入れているとのことですが、甲府市は「妊産婦等生活援助事業」をどのように進め、また支援施設とどのような連携を取りながら、「特定妊婦」の伴走型支援を行っていくのか、お尋ねします。

 

質問2. 新生児 先天性代謝異常等 検査についてお伺いします。

山梨県は本年11月生後間もない全ての新生児から採血し、希少疾患の有無を調べる「新生児 先天性代謝異常等 検査」で、新たに20疾患から二つの疾患を対象に加え22疾患とすることを発表しました。課題は、「精度保証」「追跡調査」「倫理的課題」などが挙げられています。この検査により疾患が発見された新生児やその保護者に対し、甲府市としてどのようなサポートをされているのか、お聞かせください。

 

質問3.生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問する、「乳児家庭全戸訪問事業」(こんにちは赤ちゃん事業)についてお伺いします。

様々な不安や悩みを聞き、子育て支援に関する情報提供等を行うとともに、親子の心身の状況や養育環境等の把握や助言を行い、支援が必要な家庭に対しては適切なサービスを提供し、乳児のいる家庭と地域社会を繋ぐ最初の機会とすることにより、乳児家庭の孤立化を防ぎ、乳児の健全な育成環境を図るとしています。

甲府市における訪問者の職種と担当エリアと担当する概略人数及び令和5年度の訪問実績をお尋ねいたします。また、支援が必要な家庭へのサービス提供状況をお訊ねします。

(再質問)乳児家庭全戸訪問事業の要項では、訪問者について保健師、助産師、看護

師のほか、保育士、母子保健推進員、愛育班員、児童委員、母親クラブ、子育て経験

者等から幅広く人材を発掘できるとされており、その他として甲府の地域子育て資源

である子育て支援センター職員、その他子育て施設(保育所、認定こども園等)職員等

の参加を求め、地域担当の保健師さんの負担を軽減していくとともに、手厚い支援を

実現することにより、家庭と地域を繋げていく力強い事業となっていくのではないかと

考えます。地域の様々な関係者と協働しながら、子育て家庭と地域の資源を結びつけることを提案しますが、あらためて甲府市の実施体制を伺います。

 

質問4. 0歳6か月から満3歳未満児を対象に、今年度から「こども誰でも通園制度」の試行的事業が、甲府市ではじまりました。

改正児童福祉法の「乳児等通園支援事業」に基づいた「子ども・子育て支援法」等の改正による制度です。一時預り事業と大変似通っていますが、一時預り事業は保護者の都合で育児が出来ないとき利用できますが、こども誰でも通園制度はこどもの育てられる権利として事業化されたものです。

全国では118自治体が実施をしており、山梨県では甲府市が事業を開始しました。甲府市における実施施設数と試行的に実施を開始するにあたり、どのような課題があったのかお尋ねします。また本年度の試行事業の結果をどのようにまとめ、令和7年度の2年目の試行事業に繋げていくのか。さらに令和8年度の本格的実施に向け制度設計はどのようになるのかお尋ねします。

(留意点) 令和7年度からは「地域子ども・子育て支援事業」として実施するため、自治体で条例改正を行い、施設では認可手続きと定款変更が必要となる。

 

質問5&6. 集団健康診査(集団健診)について2点お尋ねします。

甲府市の集団健診には、3か月児整形外科健診、1歳6か月健診、2歳児歯科健診、3歳児健診、そして国民健康保険加入者の4・5歳児童対象の歯科健診、就学時健診があります。

一方、令和5年12月国会で、「母子保健医療対策総合支援事業」に関する補正予算が可決され、その中に「5歳児健診」の創設が含まれました。

令和5年12月8日付で各自治体宛にこども家庭庁成育局から「通知」が発出され、実施要項や必要な健康診査問診票についても「事務連絡」として送付されています。

2024年3月には、「5歳児健康診査マニュアル」が作成されています。5歳という年齢は、言語理解や社会性が発達する時期であり、発達障害が顕在化しやすい時期といえます。この時期に健診を行うことで、子どもたちの特性を早期に発見し、適切な支援に繋げることが可能です。「母子保健医療対策総合支援事業」に関する中の「5歳児健診」について、国は2028年度までに全国どこでも受けられる体制を目指していますが、甲府市の今後の実施についての対応を伺います。

 

質問7. 幼児教育/小学校教育の接続について(幼保小の架け橋プログラムについて)お尋ねします。

幼児期は遊びを通して小学校以降の学習の基盤となる芽生えを培う時期であり、小学校においてはその芽生えをさらに伸ばしていくことが必要とされています。

一方、幼児教育と小学校教育は、他の学校段階間の接続に比してさまざまな違いを有しており、円滑な接続を図ることは容易でないため、5歳児から小学校1年生の2年間を「架け橋期」と称して焦点を当てています。この為に、幼稚園、保育所、認定こども園、小学校が意識的に協働して「架け橋期」の教育を充実させるために、幼児教育施設では「主体的・対話的で深い学び」に向けた資質・能力を育み、小学校においては「幼児教育施設で育まれた資質・能力」を踏まえて教育活動を実施することとしています。このために、幼児教育施設では「アプローチカリキュラム」を、小学校では「スタートカリキュラム」を策定し、「架け橋期のカリキュラム」の作成を推進しています。

甲府市らしさを取り入れた「架け橋期のカリキュラム」を作成することにより、子どもたちにとって幼児教育と小学校教育は円滑に接続されていくのではないかと推測できます。甲府らしさを教育に取り入れるためにも教育委員会/教育部主宰のもとに架け橋期のプログラムについて話し合う会議を設置して、「幼保小の架け橋プログラム」を推進することを提案しますが、どのように対応されるのかお尋ねいたします。(答弁: 今後におきましては、国や県の指導・助言等をもとに、本市教育委員会と関係部署とが連携し、幼稚園や保育所、小学校、保護者、地域住民等による当該プログラムについて話し合う会議を設置する中で、架け橋期のカリキュラムの作成に向け、取組を進めてまいります)

 

質問8. 甲府市こども家庭センターについてお尋ねします。

2022年に改正された児童福祉法に基づき、2024年度から新しいこども福祉の拠点「こども家庭センター」が全国の市町村に努力義務ですが設置されつつあります。甲府市においてはいち早く「子ども・青少年総合相談センターおひさま(子ども家庭総合支援拠点)」が担う児童福祉機能と、「子育て世代包括支援センター」が担う母子保健機能が連携した、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもに対し一体的に相談支援を行う機関として今年度4月より運用が開始されました。あらためて「こども家庭センター」の役割や機能、支援体制、他団体との連携などについて、お訊ねをいたします

以上、8点ライフステージに沿って、こどもの育ちについての質問をいたしました。

(議会の質問と答弁についての詳細は、甲府市議会HPをご覧ください。)

 

 

ここネット通信 8月号

子ども子育て支援全国大会プレセミナー in 熊本

テーマ「少子社会の子育て支援を考える」

 

・2024年11月18日(月)午前10時~午後5時

・会場 くまもと森都心プラザホール(JR熊本駅前)

 

・主催 熊本県地域子育て支援センター事業連絡協議会(熊本子育てネット)

・共催 日本子ども・子育て支援連絡協議会(ここネット)

 

国は「子ども基本法」を制定し、「子ども大綱」を策定しました。国としては初めての子育てのナショナル・カリキュラムです。かつてないほど子育て支援事業への大きなうねりを感じます。全国の皆様とともに、自分の立ち位置を確認し、課題を共有できればと思います。子育て支援センター事業の新しい時代の幕開けです。みなさま、ふるってご参加ください。なお、開催要項は9月上旬にお知らせする予定です。

ここネット通信 7月号

ここネット副会長 大谷光代

  【くまっしぇ】より

埼玉県熊谷市はかつて暑さ日本一の町として有名になりましたが、支援拠点活動も熱く盛り上がっています。以前もここネットで紹介させていただく機会がありましたが、熊谷市の全支援拠点で構成された「くまっしぇ」の活動のひとコマを報告させてください。

つい先日の7月定例会でのことです。議題討議が終了した後、ひろばの「予約制」についてつぶやきが出ました。

利用者さんに「熊谷はいつまで予約制を続けるの?元には戻らないのですか」と言われたとのこと。またそういう声は多いらしい、とのこと。

コロナの際、くまっしぇでは拠点の開所状況の足並みを揃えることにしました。市直営拠点もくまっしぇの一員だということもあり、コロナ禍下での事業について行政と相談の上、状況に応じてすんなりと方針を決め共有でき、次第に予約制にして人数制限を図っていく流れが自然とできていきました。また、たまたまコロナ突入の前年に作った「くまっしぇ育自ポータルサイト」で、親さんたちがいつでも各拠点の予約状況の確認ができるようにもなり現在に至ります。

コロナが5類になってから一年が経ちました。今でもくまっしぇに予約制は残っていますが、予約制をとるのか否かはあくまで各拠点の判断です。5類移行以前から予約なしで受け入れを頑張っていた拠点も複数あり、前述の質問はそちらをよく利用する親さんからいただいたご意見でした。

県内でも予約制で受け入れているところは少数になってきていると聞きます。ということは全国的な流れなのでしょうが、親さんの意見に合わせ予約という考えは排除すべきなのでしょうか。

くまっしぇの中で予約制を続けている拠点の中には、コロナを通して自分たちの支援の仕方が変わった、と言うところもあります。それまで、家で一人子育てしているなんてとんでもない!全ての子育て親子さんを拠点利用者にしなければ!という盲目的ながむしゃらさで利用を促していた、ということにふと気づいたとのことでした。人数制限のかかったゆったりした拠点を眺めながら、その人それぞれのやり方を尊重すればいいという気持ちに切り替わったそうです。コロナがきっかけで「がむしゃら型支援」から「よりそい型支援」へ移行し、今のまま予約制の人数制限をしながら親子さんの横で寄り添いたい、ということです。

定例会の最後、幅広くアンケートを取ってみようということになりました。予約制なしでいつでもどこでも利用できる方法を切望する方もいるでしょう、予約制の中で安心してゆったり利用したい方もいるでしょう。その集計後、私たちが何を感じ

何を考え、どんな方法を選択していくのか。また皆様に聞いていただけましたら嬉しく思います。

これから夏本番。暑くても、親子さんが遊び集う場として支援拠点が必要とされていくことと思いますが、皆様ご自身もお身体ご自愛ください。

 

ここネット通信 4月号

ここネット通信 4月号

 

ニュースレター:小野省子さんの詩

ここネット 副会長 中川浩一

 

昨年度、山口県の研修で久しぶりに松居和先生のお話をお聞きしました。あっという間の2時間、笑いあり涙あり、あらためて「子育て」の原点を学び合いました。そのお話しの中で小野省子さんの詩集「おかあさん、どこ」を頂きました。聞くと自費で印刷し講演会でお配りしているとのこと。手のひらに収まりそうな小さな詩集ですが、読むととても感動します。小野省子さんの『子育て支援センター』という詩を紹介します。

 

『誰も知りあいが いない町を

知り合いをさがして 黙々とあるいていた

首がすわらない娘を ベビーカーにのせて

 

公園にむせかえるようなセミの声が

こわれた機械の雑音に聞こえて

真夏のアスファルトとは

ゆがんだチューインガムのようで

ただ 誰かと話しがしたいと思った

 

その時 「おひさまサロン」と書かれた看板の向こうで「よかったら遊んで

いきませんか」と手をふる人がいた「だれでも、遊べる場所なんです」

 

私はその晩 この町に

私を知っている人がいて

私の娘を知っている人がいる

そう思うだけで うれしくて眠れなかった』

 

子育て支援センターは、いつでも遊びに来られる親子の居場所です。そこには、どんな話しでも聞いてくれるスタッフと「そうだよねぇ、気持ちわかるわぁ」と共感し合える仲間がいます。そして側にある保育室や園庭からはイキイキと活動する子どもの姿を見ることができ、何かあれば保育士や看護師、栄養士の力を借りることもできます。

『そう思うだけで うれしくて眠れなかった』というお母さんが一人でも多く増えてくれることが「ここネット」の使命です!お母さんと一緒に遊びに来ていた子が、30年を経てわが子を連れ、再び子育て支援センターに遊びにきてくれました。今年度もどんな親子との出会いがあるか楽しみです。

 







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